日本学生支援機構奨学金を全額返還した

先日全額返還の届を出し、後は引き落としとお知らせのハガキが届くのを待つだけになったので記録がてら書いてみます。卒業後2年10ヶ月での全額返還でした。

※2020/1全額返還分の口座引落→2020/3/5頃に奨学金全額返還のお知らせ葉書が届きました。

結論を先に言えば、早期返還できた理由:幾つか運が良かったから

としか言えないけど、自分なりには頑張ってきたので記録させてほしい。

奨学金破産、返還地獄などのニュースが報道される昨今ですが、無事返還できた例として、主に貸与中の方の何か参考になればと思います。

 

奨学金概要

奨学金名:日本学生支援機構 第二種奨学金

学校種:四年制大学・私立・文系

貸与期間:48ヵ月(2013年4月入学→2017年3月卒業)

貸与額:80,000円×48ヶ月=3,840,000円

入学時増額なし、第一種は採用基準満たしていたが不採用

利率固定方式(※卒業時=2017年3月は0.33%)

他の奨学金は学内学外・給付貸与全て不採用

 

 繰上返還をした理由

昔(日本育英会時代)は教員や大学教育職に就けば返還免除されましたが、現在(日本学生支援機構)の貸与者は免除職もありません。大学院(修士・博士)の第一種貸与者は成績優秀者免除の可能性がありますが、学部はそのような規定もなく、返還額そのものを減免することはほぼ不可能です(死んでも連帯保証人と保証人に連絡が行くようですし)。また、日本育英会時代の貸与者は早期繰上返還で報奨金が出ましたが、日本学生支援機構になってからはそのような制度もありません。

減額返還、返還期限猶予制度、所得連動返還方式も返還額そのものを減額する制度ではありません。

なるべく返還額は少なくしたいものですが、返還額そのものを減額する制度はない以上、せめて繰上返還をして利子分だけでも返還額を少なくするのが現実的なところかと思います。

無利子の第1種奨学金のみなら定額をこつこつ返還し続けるのもありですが、第2種は利子分の支払いを減らせるため繰上返還するメリットがあり、奨学金の返還が残っていることで結婚、住宅ローン等々、今後の人生に影響が出るのも嫌で、将来の選択肢を増やす意味でも早期返還を選択しました。

また、後述しますが学部時代に学費負担のストレスから胃を壊しており、20年返還し続けることは相当なストレスになるであろうことも予測できたため、なるべく早期の返還をしたいと学部時代から考えていました。

ちなみにそんなストレス抱えるなら学費の安い国公立池というご意見はごもっともですが、学力等々諸条件により私立進学しています。

 

返還総額


返還総額3,862,586円-貸与額3,840,000円=利子22,586円

 

通常返還より11万円ちょっと利子分を削減できた計算です(計算が合ってれば)。

※下記参考金額

利子マックスの3.0%の場合:返還総額5,167,586円

2017/3貸与終了の固定利率0.33%の場合:3,974,737円(返還シミュレーションによる)

通常返還3,974,737円-繰上返還3,862,586円=112,151円

 

 2017/3卒業なので本来の返還開始月は2017/10ですが、2017/8に繰上返還をしています。秋に後期分授業料を支払い、その後6ヵ月分は手つかずで保留していたのでその分と貯金を足した額を先に返還しました。第2種奨学金は卒業後すぐに利子が付き始めるので本当は4月早々に返せばよかった(反省点)。

もっと早く返還するなら在学中に返還する手もあるのですが、新生活の元手にしたり、就職後に初任給が出るまでの1か月~2か月の保険として返還しないでおくのも一つの手かと思います。企業によって初任給支給日は異なりますが、月末締め翌月25日払いみたいな企業だと5月25日までかっつかつの生活送ることに……それでなくとも殆どの企業で定期券代を一度立替する必要がある為、通勤経路の6カ月定期代分くらいは確保しておくことをお勧めします。クレジットカードで買えば初任給支給後に引き落とし日が来るとは思うのですが、学生時代の限度額だとギリギリの可能性もあるので。

 

第2種奨学金の利子に関しては2020.1現在、利率見直し方式の方が利率低いので貸与中の方は今後の動きを見ておいた方がいいかもしれません。

www.jasso.go.jp

 

恵まれていた点

・入学時納入金は親が支払してくれた

・人的保証を選べた

・実家暮らし

・就職先がまともだった

入学時納入金:受験料と入学時納入金さえ用意できれば後は奨学金でどうにでもなりますが、入学時納入金は奨学金貸与前に支払う必要があるため、これを支払ってもらえたのは幸運でした。入学時納入金が自力で準備できない場合、JASSOの入学時増額では入学手続き期限に間に合わないため、下記の方法くらいしか手段がないと思われます。

1.高等教育の修学支援新制度で減免措置を受ける(対象者限定)

2.高校時代から奨学金を借りる

3.親名義で国の教育ローンを借りる

国公立大学の場合は殆どの大学で入学金減免・徴収猶予措置を設けているため、申請により納付時期を遅らせることができる可能性があります(最終的に不許可になっても申請から結果通知まで日数がかかるのでその間納付を延ばすことができる)。逆に私立大学では入学時納入金の延納はほぼ認められないと思われます。

人的保証:親戚が保証人を引き受けてくれたため、機関保証料を取られることなく貸与額全額を授業料に充てられたのも幸運でした。※今後は人的保証が廃止され、機関保証のみになるという報道もあるため要注意

www.asahi.com

実家暮らし:一人暮らしする余裕は皆無だったので、実家から通える大学があったことも幸運の一つかと思います。もし学費と生活費を全額奨学金とアルバイトで賄おうとしたら多分第2種最高額(月12万円)か第1種第2種併用しないと難しいと思う。最近の新型コロナウイルス流行でアルバイトが制限される可能性を考慮すると更に厳しい。

また、就職後も実家暮らしを継続できたことと、正規雇用で就職できたのは早期返還に最も効果があったかと思います。はっきり言って家賃とボーナスの有無、でかい。家賃手当は上限額が決まっている企業も多いと思いますが、通勤手当はほぼほぼ全額出ることが多いので、実家暮らしできるなら数年間実家暮らししてみるのも手かと。これも家庭環境に事情があったり毒親だったら難しい手段になるので全員にはお勧めできませんが、家族関係が良好なら第一候補として挙げていいと思う。たまたま就職率の良い時期に就職活動ができて、正規雇用でボーナスも出る企業に就職できたのが幸運だったのは否定できませんが……。

 

以下個人的な感想というか愚痴なので読みたい人だけ。

大卒資格を得て四大卒のみ募集の求人に応募でき、無事就職できたのは奨学金により大学進学できたおかげと言うしかないかと。日本学生支援機構に思うところは山ほどありますが、日本学生支援機構奨学金が無ければ進学できなかったのも事実です。高校とは違う友人にも恵まれ、よい環境で指導を受け、専門分野の面白さを知れたのも大学進学したおかげでした。

流石に400万円近い借金を抱えて更に最低200万円以上の借金をする覚悟ができなくて大学院は断念しました。社会に出てみたら研究者ってめちゃめちゃ頭いいなと気付いてうぬぼれ具合を反省しましたが。専門分野の愉しみが段々分かってきたところで卒業したので学費の心配をしなくていいなら行ってみたかった。

在学中は学費支払いに相当悩み、かなり鬱々とした気持ちになったことも事実です。貸与額8万円では授業料全額は賄えないためアルバイトで補っており、授業が終わると走ってアルバイト先に向かうこともありました。経済的な心配をし続けながら大学に通うのは本当に辛いです。学部時代、お昼に見切り品のパン1個買うのも怖くなって何分も陳列棚の前で迷ったり、奨学金借りてるのが嫌になって毎週のように布団の中で泣いたり、学費のストレスから逆流性食道炎を発症しました。在学中は継続説明会やオリエンテーションの度に奨学金は借金だと言われ続けますが、あまり真剣に捉え過ぎると身体壊します。体調不良で休学したら休学費分出費が増え、留年したら奨学金が止まるので健康第一に生きましょう。弱った胃は数年経った今も弱いままです。金は後から返せても、失った健康は戻ってこない。死んだら借金してまで進学した意味無くなっちゃうので、本当健康だけは大事に生きましょう。